| 旅に出たくなるような映画や本。それが毎日の私の生活を潤してくれます。 そんな店主のよもやま話・・・。 |
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恋する惑星 監督:ウォン・カーウァイ 主演:金城武、フェイ・ウォン、トニー・レオン 1994年香港映画 |
| 今やアジア映画の定番中の定番であるこの作品。 なんというストーリーでもないのだけれど、作品全体に流れる弾けるようなビート感と、路地の風景、怪しさ、印象的な音楽に、何度観ても胸ときめいて、中国返還の直前の1997年、初めて友人と香港に旅立ちました。 |
| 二話の異なるエピソードから成るこの作品、後に日本でも有名となった金城武を世に知らしめた作品でもあります。 一話で登場する金城君、彼は彼女に振られたことも認識できないおめでたい刑事。そして金髪のかつらにサングラス、トレンチコートに身を包んだヤクの手配師である疲れた表情の女。こんな二人がある日、ちょっと湿気を含んだようなけだるい香港の街の片隅で出会い、少しだけ心を通わせるお話。そこに登場する怪しいインド人街と、手配師の女を煙に巻く、一筋縄ではいかないインド人達・・・。 一話の登場人物達と、雑踏の中、微妙なすれ違いを見せながら生きるもう一組の主人公達が、アジアの歌姫であるフェイ・ウォンが演じるちょっぴりイカレタ女の子と、人のいい警官のトニー・レオン。このフェイ・ウォンがかなりのストーカーぶりを発揮。でもなんだか微笑ましい。 これ、というストーリーも結論も生み出さない作品なんですが、アジアの片隅の風景を切り取ったような作りが旅情を誘います。 1997年、そんな風景を求めて友人と香港におりたった私。旅人にはちょっと有名なラッキー・ゲストハウスという日本人が集まるドミトリーを探しながら、夜の香港をさまよった記憶が、この「恋する惑星」の路地の風景と妙にシンクロします。ラッキー・ゲストハウスというのは、大部屋に二段ベッドをたくさん配したドミトリースタイルの宿。中国への長旅の最初に立ち寄った人、もう何年も日本に帰っていないような人、元学校の先生、役者を目指す香港在住の青年、私達のようなOL、間違って(?)日本人宿に紛れ込んできてしまった変な西洋人、いろんな人々が一つの部屋に集い、てんでんばらばらの一日を過ごしていた時、誰かがポツリと、「おいしい飲茶が食べたいな」・・・。その一言で、僕も、では私もと、「大勢で食べた方がいいよね。」などと言い出すと、「香港に詳しい」という今まで口もきかなかった旅の達人風の人が、「では私が案内しましょう」。そして香港の街に「おいしいもの」を求めて繰り出しました。 今は新しくなってしまった国際空港も、返還以前の空港は街中にある空港として有名でした。空港近くの地区では、しなびたビルのちょっと上を飛行機が轟音と共に低空飛行。暑くて道がわからなくて、道を聞こうと思わず声をかけた男性は、はにかんだ笑顔が素敵な香港のサラリーマン。 「恋する惑星」の風景を求めて、警官役のトニー・レオンが住んでいたアパートの近くにある長いエスカレーターを訪ねたり、1週間の香港滞在は期待通りのときめきを残して過ぎていきました。 この「恋する惑星」、音楽もなかなかです。作品の雰囲気にぴったりなフェイ・ウォンの「夢中人」をはじめ、印象的な「夢のカリフォルニア」、デニス・ブラウンのレゲエも効いてるし、インド人街でかかる名も知らぬインド音楽すらも、音楽を聴いているだけでアジアンな雰囲気が楽しめます。 冒頭、金城君がつぶやく「雑踏ですれ違う見知らぬ人の中に未来の恋人がいるかもしれない」という言葉にうなずかされる、アジアンムービー。まだご覧になっていない方は是非どうぞ。 |
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