インド・パキスタン、山を巡る女の旅 Part3
インド編



4月8日  インドでの苦難の日々始まる

インドでの一日目の夜が明けた。
昨夜真っ暗で人けもなかった道端は、すごいことになっていた。けたたましい音を鳴らして無謀な運転をするインドの車・アンバサダー、その合間を駆け抜けるリキシャー(インドの人力車)、通りで体を洗う男、道端で寝そべる女や幼子、ゴミの山を漁る牛、焦げて真っ黒になったやかんでチャイを作る
子供、芝居がかったリアクションでバクシーシを乞う手足の無い物乞い、何を求めてどこへ行くのか訳のわからないおやじ連中・・・。インドではあらゆるものが混在していると話には聞いていたが・・・。その圧倒的なパワーにしばし絶句。
しかし絶句している暇も与えないのがインド。早速友達に手紙を書こうとポストカードを買っていると、その後ろで呪文を唱えるように巧みに釣り銭を我が方へ誘導しようとしている長い白ひげのじいさん。思わず受け取った釣り銭をそのままじいさんに手渡しそうになって焦る。


とりあえず今日やらなければいけないことは、列車の切符を買うこと。東南アジアのようなイージーな国ならいざ知らず、インドのような国では列車の切符ひとつ手に入れるのも一苦労だ。山好きの私たちのインド最大の目的は「ヒマラヤ山脈」。その近郊にあるネパール国境に近いダージリンという高原の町を目指す。そう、「ダージリンティー」でも有名な町である。そこからヒマラヤ山脈を一望できる山中へのトレッキングが目的だ。しかもその道中には、以前私が「世界の車窓から」で見た、おもちゃのようなミニチュア蒸気機関車、その名も「トイトレイン」が走っているらしい。インド人が「おもちゃのような」なんて言っちゃう位だから、本当におもちゃ以下かもしれんな、などと思いつつ、私たちはダージリンへの列車の切符をとるべくリキシャーで駅へ向かった。

「駅まで100Rs!」と言い張るリキシャマンをなだめすかして50Rsで駅まで向かうが、これが相場かどうかわからない。たぶんぼられてるんだろうなと思い、でも女二人とは言え、人間を乗せた荷台を引くのは大変だろうと汗を拭うリキシャマンに多少同情しつつ、駅についたら少し色をつけてお金を払うかなんて仏心を感じていると、途中からリキシャマンの足取りが鈍りだした。やたら疲れたというジェスチャーもなんだかずいぶんオーバーリアクションだ。しまいには「50Rsじゃ行けねー。」と駄々をこね始め、なんだか嫌味なリキシャマンだと駅前で約束の50Rsで突っぱねると、「You are No Good Men!!」と大きな声で怒鳴られた。公衆の面前で面と向かって「おまえはいやなヤローだ!!」と言われたのは生まれてこのかた初めてだ。「You too!!」と叫びたいところだが、ここは抑えて軽く流し、「とにかく切符、切符」と駅構内に入る。

ここがまたすごい人、人、人の洪水。人をかきわけ切符を求めてさまようも、押し合いへしあいでくじけそうになる。外人だろうが女だろうが関係ない。順番待ちをしていても、おやじにつきとばされて割り込みされる。さんざんたらい回しにされ、とうとう判明したのが「ここでは長距離切符は外人には売っていない」という悲しい事実。半日かかっても切符ひとつ買えず、駅からバスを乗り継いで辿り着いたのが「フェアリープレイスリザベーションオフィス」。外国人はここで列車の切符を予約する。すでに外人の長蛇の列ができている。一時間以上も待たされ、ようやく切符を手に入れた。

インド、疲れるなあ・・・。